Smart Nurse Lab

看護師の平均年収はいくら?給与の決まり方と上げ方

給与明細をただ眺めるだけで終わらせず、基本給や手当の見方から、収入を上げるための考え方までわかりやすく整理します。

給与明細の手当と控除を確認する看護師

看護師の給料は、「資格があるから一律」ではありません。同じ看護師でも、病院の規模、地域、夜勤の有無、配属先、役職、賞与、残業、手当の設計によって、手取りの印象はかなり変わります。

だからこそ大切なのは、平均年収だけを見て一喜一憂することではなく、「自分の給料は何で決まっているのか」を分解して見ることです。

看護師の平均年収は〇〇万円!?

看護師の年収を考える時、まず知っておきたいのが「全国平均」です。厚生労働省の最新統計では、看護師の平均年収は約524.7万円です。

この金額は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(調査年2025年、公開日2026年3月24日)の看護師データをもとに、きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額で計算しています。

全国平均 約524.7万円

月額給与36.59万円 × 12か月 + 年間賞与等85.64万円

看護師の全国平均(男女計・企業規模10人以上)
平均年齢 月額給与 年間賞与等 推計年収
42.1歳 36.59万円 85.64万円 524.7万円

ただし、平均年収は「日本中の看護師をならした数字」です。実際の年収は、住んでいる地域、病院の規模、夜勤の有無、賞与、経験年数、役職などで変わります。地域差を見ると、同じ看護師でも年収にかなり幅があることがわかります。

都道府県別 推計年収 上位5件
順位 都道府県 推計年収
1滋賀585.3万円
2東京578.5万円
3山梨555.5万円
4栃木553.8万円
5奈良548.4万円
都道府県別 推計年収 下位5件
順位 都道府県 推計年収
1高知434.8万円
2宮崎443.3万円
3青森452.5万円
4福島454.3万円
5岩手454.4万円
読む時のポイント

都道府県別の数字は、地域だけでなく、調査対象になった職場の規模、年齢構成、夜勤や手当、賞与の影響も受けます。「自分の県が高い・低い」で終わらせず、給与明細や求人票を見る時の目安として使うのがおすすめです。

47都道府県の一覧を見る
看護師の都道府県別平均(男女計・企業規模10人以上)
地域 平均年齢 月額給与 年間賞与等 推計年収
全国42.1歳36.6万円85.6万円524.7万円
北海道43.0歳35.3万円95.7万円519.4万円
青森41.9歳31.3万円76.5万円452.5万円
岩手45.6歳31.7万円73.9万円454.4万円
宮城40.4歳35.1万円92.6万円513.2万円
秋田41.9歳34.5万円97.5万円511.5万円
山形43.6歳33.1万円79.9万円476.9万円
福島40.8歳32.9万円59.9万円454.3万円
茨城46.0歳37.2万円68.4万円514.6万円
栃木39.3歳36.5万円115.5万円553.8万円
群馬44.7歳35.8万円94.5万円523.5万円
埼玉45.8歳38.1万円76.3万円533.0万円
千葉39.2歳37.7万円95.7万円547.7万円
東京40.1歳40.8万円89.2万円578.5万円
神奈川41.0歳38.4万円82.6万円543.7万円
新潟41.3歳34.3万円77.9万円489.3万円
富山42.0歳34.9万円87.5万円505.9万円
石川40.9歳36.1万円82.2万円515.2万円
福井44.6歳33.9万円106.8万円513.2万円
山梨45.5歳38.7万円91.5万円555.5万円
長野41.0歳35.9万円86.6万円517.7万円
岐阜42.9歳36.1万円76.0万円509.1万円
静岡40.9歳37.2万円78.6万円524.8万円
愛知42.2歳37.1万円100.4万円546.1万円
三重44.2歳35.7万円85.8万円514.1万円
滋賀41.3歳39.4万円112.4万円585.3万円
京都41.5歳38.3万円80.8万円540.7万円
大阪40.6歳38.1万円83.6万円540.2万円
兵庫44.4歳36.7万円82.7万円522.8万円
奈良42.0歳38.9万円81.5万円548.4万円
和歌山40.4歳36.3万円79.1万円514.4万円
鳥取41.1歳35.3万円91.8万円514.9万円
島根43.4歳36.5万円79.8万円517.6万円
岡山39.5歳36.4万円99.1万円535.9万円
広島44.3歳35.5万円95.0万円521.0万円
山口45.0歳34.7万円95.6万円511.8万円
徳島43.4歳35.6万円77.4万円504.6万円
香川42.8歳37.1万円90.6万円536.0万円
愛媛45.3歳33.0万円76.3万円472.7万円
高知44.2歳31.8万円52.9万円434.8万円
福岡43.7歳33.8万円77.0万円482.6万円
佐賀43.3歳32.1万円83.0万円468.6万円
長崎44.7歳32.6万円80.8万円472.2万円
熊本41.9歳34.0万円82.5万円490.6万円
大分45.4歳33.1万円77.1万円474.3万円
宮崎44.5歳30.8万円73.9万円443.3万円
鹿児島40.3歳35.5万円76.9万円503.3万円
沖縄42.5歳34.6万円71.1万円486.2万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者、職種別第1表・都道府県別第3表。推計年収はSmart Nurse Labで月額給与×12か月+年間賞与等として算出。

給料は何で差がつくの?

看護師の給料は、個人の頑張りだけで決まるものではありません。もちろん経験年数、夜勤回数、役職、資格などで差は出ます。ただ、その前に知っておきたいのは、看護師の給与の原資がどこから生まれているのかです。

病院やクリニックで働く看護師の給与は、基本的には勤務先の収入から支払われます。そして多くの医療機関の収入の中心にあるのが、患者さんの自己負担と、医療保険から支払われる診療報酬です。

看護師の給与につながるお金の流れ
流れ 内容
患者さん・医療保険 患者さんの自己負担、保険者からの支払い、公費などが医療費のもとになる
医療機関の収入 診療報酬や自費診療、健診、訪問看護などの収入として病院や事業所に入る
人件費 医師、看護師、薬剤師、リハ職、事務職など、医療を支える人の給与に使われる
看護師の給与 基本給、夜勤手当、賞与、資格手当、役職手当などとして支払われる

つまり、看護師全体の給与を本気で上げるには、「個人がもっと頑張る」だけでは限界があります。看護師の専門性や夜勤、患者さんの安全を守るための配置、教育やマネジメントの役割が、診療報酬や制度の中でどう評価されるかも大切です。

Smart Nurse Labの視点

看護師の給与を上げる話は、個人の転職や副業だけで終わらせたくありません。看護師が安心して働き続けるためには、医療機関に入るお金が増え、その中から看護職へきちんと還元される仕組みが必要です。

一方で、同じ制度の中でも職場ごとに給与は変わります。医療機関の経営状況、病床機能、夜勤体制、賞与の出し方、昇給制度、手当の設計が違うからです。そのため、看護師個人が給与を見る時は、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

給料の差が生まれる3つの場所
見る場所 具体例 確認したいこと
制度 診療報酬、介護報酬、処遇改善、医療政策 看護職の賃上げにつながる評価があるか
職場 病院規模、病床機能、賞与、夜勤体制、手当 収入が看護師に還元される給与制度か
個人 経験年数、役職、資格、夜勤回数、働き方 自分の経験や負担が給与に反映されているか

たとえば月収が高く見えても、夜勤や残業に大きく支えられている場合があります。反対に、月収だけを見ると控えめでも、基本給が高く、賞与や退職金につながりやすい職場もあります。

大切なのは、「なぜこの給料なのか」を分解して見ることです。給与明細では、基本給、夜勤手当、時間外手当、資格手当、役職手当、賞与の土台になる金額を確認していきます。

ポイント

看護師全体の給与を上げるには制度や職場の仕組みが重要です。そのうえで個人としては、基本給と固定手当、夜勤や残業に頼っている割合、賞与の計算方法を見ていくと、自分の収入の強みと弱みが見えやすくなります。

参考: 厚生労働省「医療保険制度」「令和6年度診療報酬改定」。診療報酬や処遇改善の仕組みは改定で変わるため、最新情報の確認が必要です。

給与明細で見るべきところ

給与明細を見る時は、手取り額だけで終わらせず、勤怠・支給・控除・差引支給額の4つに分けて確認します。どこで増えて、どこで引かれて、最終的にいくら残ったのかを見れば、自分の収入のクセが見えてきます。

なお、給与明細には氏名、職員番号、所属、勤務先、口座情報、勤務日数、残業時間などが載っています。SNSやブログに載せる場合は、金額だけでなく、個人や職場が推測される情報も必ず伏せましょう。

給与支給明細書 匿名化サンプル
支給年月
20XX年X月
所属
〇〇部
氏名
スマート 太郎様

勤怠

所定日数22.0日
出勤日数21.0日
有休日数1.0日
残業時間2.5時間
夜勤回数0〜4回

支給

基本給30万円台
通勤手当数千円
時間外手当数千円
夜勤・待機手当0〜数万円
その他手当職場による
総支給額40万円前後

控除

健康保険2万円前後
厚生年金3万円台
雇用保険数千円
所得税1万円前後
その他控除職場による
控除合計8万円前後
課税支給額40万円前後
差引支給額30万円台
銀行振込額30万円台

1. 勤怠は「手当の根拠」になる

勤怠欄には、出勤日数、有休日数、残業時間、深夜勤務、夜勤回数、待機時間などが載ります。ここは、給与の根拠になる部分です。

たとえば時間外手当がついているなら、残業時間と合っているか。夜勤手当があるなら、夜勤回数と単価が合っているか。待機手当やオンコール手当がある職場なら、待機回数や時間が反映されているかを見ます。

2. 支給は「固定」と「変動」に分ける

支給欄は、職場から支払われるお金です。ここで大事なのは、毎月ほぼ変わらない固定部分と、勤務内容によって変わる部分を分けることです。

  • 基本給: 昇給、賞与、退職金の土台になりやすい
  • 通勤手当: 通勤にかかる費用の補助
  • 時間外手当: 残業時間に応じて支払われる手当
  • 夜勤手当: 夜勤回数によって大きく変わる手当
  • 待機手当・オンコール手当: 呼び出しに備える勤務への手当
  • 資格手当・役職手当: 専門性や責任に対してつく手当

月収が高く見えても、時間外手当や夜勤手当の割合が大きい場合は、体力や生活リズムへの負担もセットで考える必要があります。反対に、基本給が高い職場は、賞与や長期的な年収に効いてくることがあります。

3. 控除は「引かれている理由」を見る

控除欄は、総支給額から差し引かれるお金です。代表的なのは、健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税です。職場によっては、互助会費、寮費、住宅費、食費、組合費などが引かれることもあります。

控除が多いと手取りは少なく見えますが、社会保険料は将来の年金や医療保険にも関係します。手取りだけを見て落ち込むのではなく、何が、何のために引かれているのかを確認しましょう。

4. 手取りだけで判断しない

最後に見るのが、差引支給額、つまり手取りです。生活費として大事なのは手取りですが、転職や働き方を考える時に手取りだけで比べるのは危険です。

同じ手取りでも、基本給が高いのか、夜勤と残業で上がっているのか、控除に住宅費や寮費が含まれているのかで意味が変わります。最低でも3か月分を並べて見ると、自分の収入が安定しているのか、変動に支えられているのかがわかります。

チェックする順番

まず勤怠で働いた時間を確認し、次に支給で基本給と手当を分けます。そのあと控除を見て、最後に手取りを確認します。この順番で見ると、「なぜこの金額になったのか」が追いやすくなります。

収入を上げる具体的な方法

収入を上げると聞くと、夜勤を増やす、残業を増やす、休日に単発バイトを入れる、という方法が思い浮かぶかもしれません。たしかに短期的には月収が増えます。

でも、Smart Nurse Labで一番伝えたいのは、働く時間を増やすより、自分の時間単価を上げる努力をすることです。時間単価とは、1時間あたりに生み出せる価値、そして受け取れる報酬のことです。

Smart Nurse Labの考え方

収入を上げる目的は、ただ忙しくなることではありません。看護師としての価値を高め、同じ時間でもより良い条件で働けるようになること。その結果として、生活に余白をつくることです。

収入を増やす2つの考え方
方法 増え方 注意点
働く時間を増やす 夜勤、残業、休日勤務、単発バイトで月収を増やす 体力、睡眠、家族時間、学ぶ時間が削られやすい
時間単価を上げる 専門性、経験、役割、働く場所を変えて同じ時間の価値を上げる すぐには増えにくいが、長期的に働き方を選びやすくなる

1. 専門性をつくる

時間単価を上げる一番わかりやすい方法は、「この分野なら任せられる」と言える専門性を持つことです。救急、集中治療、手術室、透析、訪問看護、精神科、美容看護、緩和ケア、認知症ケアなど、専門性はひとつではありません。

資格だけが専門性ではありません。急変対応ができる、退院支援に強い、家族対応がうまい、教育ができる、記録や業務改善が得意。こうした経験も、言語化できれば価値になります。

2. 役割を取りにいく

収入を上げたいなら、ただ勤務をこなすだけでなく、評価されやすい役割を少しずつ取りにいくことも大切です。リーダー、プリセプター、係活動、委員会、マニュアル作成、後輩指導、業務改善などは、経験として残ります。

大事なのは、ただ忙しくなる役割を抱え込むことではありません。「何を改善したか」「誰に貢献したか」「どんな成果があったか」を残しておくことです。転職や面談の時に、自分の価値を説明しやすくなります。

3. 働く場所を見直す

同じ看護師でも、働く場所によって給与の仕組みは変わります。病院、クリニック、訪問看護、美容看護、企業、健診、施設、派遣など、それぞれ求められる力も、手当のつき方も違います。

今の職場で時間単価が上がりにくいなら、働く場所を変えることも選択肢です。ただし、月給だけで決めず、基本給、賞与、夜勤やオンコール、残業、休日数、教育体制まで見て判断します。

4. 自分の経験を言語化する

看護師は、日々かなり高度なことをしています。でも、自分の経験を「何年働きました」だけで伝えると、価値が伝わりにくくなります。

たとえば、「急性期病棟で5年」だけでなく、「急変対応、リーダー業務、新人指導、退院支援、家族対応を経験」と書けると、相手に伝わる情報量が変わります。時間単価を上げるには、自分の価値を言葉にする力も必要です。

5. 学びに投資する

時間単価を上げるための学びは、資格取得だけではありません。臨床の知識、コミュニケーション、マネジメント、文章力、IT、AI、英語、お金の知識など、看護師の可能性を広げる学びはいくつもあります。

特にAIは、情報収集、文章作成、勉強計画、資料づくりなどを助けてくれる道具になります。AIを使いこなせる看護師は、学ぶスピードや発信力を高めやすく、これからの働き方の選択肢も広げやすくなります。

ポイントは、今の仕事に少しでも回収できる学びを選ぶことです。学んだことを職場で使い、経験として残し、次の働き方につなげる。その積み重ねが、自分の時間単価を少しずつ上げていきます。

まずやること

今月の給与明細を見て、収入が「時間を増やして得たお金」なのか、「自分の価値で得たお金」なのかを分けてみましょう。夜勤や残業に頼りすぎていると感じたら、次は時間単価を上げる行動をひとつ選びます。

もちろん、生活のために一時的に夜勤や単発勤務を増やす時期があってもいいと思います。ただ、それをずっと続ける前提にしないことが大切です。看護師として長く豊かに働くためには、時間を削る働き方から、価値を高める働き方へ少しずつ移っていきましょう。

まとめ

看護師の給料を見る時は、平均額よりも「何でその金額になっているか」を見ることが大切です。基本給、夜勤手当、賞与、残業、資格手当を分けて見るだけで、今の職場で頑張るべきか、働き方を変えるべきかが考えやすくなります。